こんにちは!防災アドバイザーの熱血じいさんです。
今回は、「【津波はなぜ起きる】そのメカニズムを理解して、大切な命を守ろう!」というテーマで記事を書いてみました。
令和6年1月1日、能登半島に巨大な地震が発生しました(令和6年能登半島地震)。また、平成23年3月11日、東北地方の太平洋沖で大地震が発生しました(東日本大震災)。
この2つの大きな地震で津波が発生し、甚大な被害が発生しました。
今回は、この「津波」について、理解を深めたいと思います。
知っているようで知らない「津波」、意外と安易に考えている人が多いのではないでしょうか?
「津波」の恐ろしさを知り、防災力を高めましょう!
目次
津波の発生メカニズム
まずは、津波はどのようにして起こるのでしょうか?その発生メカニズムをご説明します。
津波は普通の波とは根本的に違います。
通常に私たちが見る波は、風(風浪)が原因で起こります(日本に到達する波は、風浪の他に「うねり」が影響を与えています。)。
しかし、「津波」は風が原因で発生するものではありません。
「津波」は以下に示す要因(5つ)で発生します。
⑴ 海底地震によるもの(2つの要因があります。)
① 陸(日本)のプレートの下に海底のプレートが沈み込み(海溝)ます。この海底のプレートが沈み込む時に、陸のプレートも同時に沈み込みます。しかし、陸のプレートが沈み込みに耐えきれず、もとの位置に戻ろうとするときに地震が発生し、陸のプレートが跳ね上がった部分の海水が持ち上げられ、津波が発生します。
② 海底プレートで断層が発生すると、断層によって海水が持ち上げられ(又は押し下げられ)、地震と津波が発生します。
⑵ 海底火山の噴火
⑶ 海底の大規模な地滑り
⑷ 氷河の崩壊
⑸ 隕石や小惑星の衝突
✻ 今回は、⑴が地震に伴い発生する津波ですので、⑵~⑸の説明は今回は省略いたします。
では、海底地震による津波の発生メカニズムについて詳しくご説明いたします。
地震が、海底で発生すると地殻の断層の動きによって、海底が突然持ち上がったり、沈んだりします。この地殻の動きが海水を直接押し上げたり、引き下げたりします。
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海水面が押し上げられる(又は引き下げられる)と、重力の作用により元の海面の状態に戻ろうとします。海水面が押し上げられた(又は引き下げられた)部分から、エネルギーが周囲の海水へと伝達されます。このエネルギーの伝達は、海面が平衡状態に戻ろうとする過程で生じ、これにより、波が形成されます。
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形成された波は、海水面の変形によって生じたエネルギーを運びながら水平方向に進みます。
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開けた海では、ほとんど高さを持たずに非常に高速で進みます。浅瀬に近づくと速度が遅くなり、高さが増幅します。これが、津波が海岸に到達すると甚大な被害を引き起こす原因です。
<海溝型地震による津波の発生>
<断層により地震・津波が発生>
先ほど、津波と普通の波(風浪)は発生メカニズムが違うと話しましたが、次に「風波」と「うねり」について説明したいと思います。
<風浪とは>
風浪は風が海面を吹き抜けることによって発生します。
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風と水面との間に摩擦が発生し、この摩擦によって風のエネルギーが水面に伝わります。
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最初は小さな波紋ですが、風がさらにエネルギーを与えることにより、波が発生します。
風が継続的に吹くことで、波は次第に大きくなります。
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波の成長は、風の速度、風が持続する時間、風が吹き渡る距離(フェッチ)に依存します。
ある時点で、波は、波の砕けることによるエネルギーの損失と風からのエネルギーの獲得が調和し、一定の大きさになります。この状態を「完全に成熟した波」といいます。
<うねりとは>
うねりとは、遠くの海上で発生した風が海面に作用することによって生まれる波のことです。
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海上で発生した波(風浪)は、風の影響を受け続けながら、徐々に風から独立して進む波(うねり)となります。この過程で、波より整った形(周期が長く、波形が安定した波)になります。
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うねりは、エネルギー損失が少ないために、風によって直接生み出された波よりも、非常に長い距離を移動できます。
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うねりが海岸に近づくと、水深の減少に伴い、速度が遅くなり、波高が増します。
津波のパワーや威力を知ろう
つぎに、津波のパワーと威力を見てみたいと思います。
水深50㎝の波打ち際に、50㎝の津波が襲ってきた場合、この時、流速はおよそ2m/sと考えられます。そして、身体には、およそ0.3t強の力が加わります。
また、津波は海底の砂や砂利を巻き上げてやってくる濁流です。もし、津波に飲み込まれたら大変なことになります。
1998年のパプアニューギニアの地震で、津波に飲み込まれた人たちが病院に運ばれてきたとき、負傷者がやけどを負っている人が多かったそうです。なぜなら、津波と一緒に砂浜を引きずられたからです。砂浜は「濡れたサンドペーパー」だったからです。
地震の大きさをマグニチュードで表しますが、例えば、2010年のチリ沖の地震の場合、マグニチュード8.8です。これは、広島型原子爆弾の22,000発に相当します。また、2006年の世界のエネルギー消費量の5.7%に相当します。この年の日本のエネルギー消費量が世界の4.5%です(地震が発生した瞬間に日本の1年3カ月分のエネルギーが消費されたことになります。)。
みなさん!津波の速さはどれくらいかご存じですか?
一般的に言って、陸地に上がった津波の時速は、10~50㎞/sと言われています。大規模な津波の場合、時速が80㎞/sを超えることがあります。
人間が歩いている時速が約3~4㎞/s、一般的な自転車の時速が約15~20㎞/sと言われています。オリンピック選手のようなトップアスリートが100m走で記録する速度は、約36㎞/sと言われています。
この数値から言って、陸上に上がった津波から逃げることは容易ではありませんね?
また、海中での津波の速さは、水深4000mで時速700㎞/s(これは、ジェット機の速さです。)、水深500mで時速250㎞/s(これは、新幹線の速さです。)、このような速さで陸地に向かってきます。
津波は、単なる波ではありません。水の塊、すなわち水の壁が陸地に向かってきます。例えば、水深1m、幅1mの水の壁がぶつかると、約4.5tの力が加わります。
ほんとかよ?と思うかもしれませんが、本当の話です。
津波に関するの豆知識
最後に、津波に関するいろいろな豆知識をお話しします。
地震が発生したとき、テレビなどで「この地震による津波の心配はありません」とアナウンサーがいいますけど、なんでこんなすぐにわかるのかな?と不思議に思うことはありませんか?
これは、海底で断層による地震が発生した場合、過去の経験則から津波の発生の有無がわかります。
日本で被害が発生した近地津波のうちで、マグニチュードと震源の深さがわかっている地震(130例)で、マグニチュードが6.0以下、あるいは震源の深さが100㎞より深ければ、被害をもたらす津波は発生しないと過去のデータが物語っています。
このような理由により、津波の発生の有無がわかります。
「津波てんでんこ」とは、津波からの避難行動の教訓です。
「てんでん」とは、「てんでに」とか、「てんでんばらばらに」という意味で、「てんでんあらばらに急いで早く逃げろ」という、津波から逃げるための教訓です。
この「てんでんこ」という言葉は、津波災害史研究家の山下氏が「全国沿岸市町村津波サミット(第一回)」において、家族のエピソードを語った時に話されました。
山下氏が9歳の時、「昭和三陸津波」が発生し、その時に、山下氏の父・兄弟は山下氏を置き去りにして逃げました。母は、その非常さをなじりましたが、父は、「なに!てんでんこだ!」と反論したそうです。
すなわち、「津波が発生しそうと思われるときは、てんでんばらばらに逃げることで、それぞれの大切な命が助かる。」ということを山下氏の父は述べたと言われています。
このことが、サミットにおいて、「津波」+「てんでんこ」=「津波てんでんこ」という言葉ができたと言われています。
「稲むらの火」とは、1854年安政南海地震による津波を題材とした物語で、昭和12年から約10年間にわたって、国定教科書として小学校の国語読本として使われていました。
この物語は、「地震の揺れを感じた、主人公の五兵衛が海の異変を感じ、村人たちに津波の危険を知らせるため、自分の田んぼにある「稲むら」に火をつけて、村人を津波から守った。」というお話です。
*「稲むら」とは…積み重ねた稲の束のことをいいます。
この物語に次のような描写があります
「村から海へうつした五兵衛の目は、たちまちそこにすいつけられてしまった。風とははんたいに波が沖へ沖へとうごいて、みるみる海岸には、ひろい砂原や黒い岩底があらわれてきた。」
この表現は、津波が来るという情景を目の前で感じるような表現だけに、誰もが津波がくるときは、一度沖の方へ引いてからくるという印象を受けてしまいます。
津波警報が発生すると、海に津波が来るかどうか、引き波を確認に行くという行為が、今も行われているところがあります。
しかし、実際の津波は、引き波があってから発生するだけではなく、押し波が最初にくる場合、押し波と引き波が混在する場合など複雑です。
この点に注意して、地震が発生したときは海を見に行くことは避けてください。
まとめ
いかがでしたか?今回は「【津波はなぜ起きる】そのメカニズムを理解して、大切な命を守ろう!」というテーマで記事を書いてみました。
多少でも、津波のパワーのすごさ・怖さを理解していただけましたか?
「津波なんてたいしたことないよ!」などと決して思わないでください。
自然の力は想定外です。
人間の力ではどうにもならないことがおこります。
大切な命を守ってください!
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