こんにちは!防災アドバイザーの熱血じいさんです!
今回は、「【集中豪雨と台風】定義や仕組みについて わかりやすく解説します!」というテーマで記事を書いてみました。
日本は、6月から9月にかけて、豪雨になるときがあります。
この豪雨によって、災害が発生して、尊い命が失われることがあります。
確かに、夏になるとテレビなどの報道を見ていると、「集中豪雨」、「ゲリラ豪雨」、「線状降水帯」などという言葉が昨年より、増えたような気がします?
「集中豪雨」と「ゲリラ豪雨」何が違うの?
「線状降水帯」とは、「集中豪雨」とどう違うの?
など、いろいろ疑問に思うことはありませんか?
今回は、そのようなチョットした疑問について、お話ししていきたいと思います。
では、まずは、「集中豪雨」について、お話しします。
目次
集中豪雨とは
集中豪雨というと、どのような雨を思い浮かべますか?
まずは、集中豪雨という言葉について、気象庁の定義を見てみましょう。
集中豪雨とは『同じような場所で数時間にわたり強く降り、100㎜から数百㎜の雨量をもたらす雨(積乱雲が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことにより起き、重大な土砂災害や家屋の浸水等の災害を引き起こす。)』と定義されています。
ちなみに、100㎜の雨とは、「猛烈な雨」のことをいいます。
「猛烈な雨」とは
※息苦しくなるような圧迫感がある
※恐怖を感じる
※傘は全く役に立たない
※屋内で寝ているほとんどの人が気づく
※水しぶきであたり一面が白っぽくなり視界が悪くなる
※車の運転が危険とされる
と言われています。
集中豪雨と同じように、よくいわれているのが「ゲリラ豪雨」という言葉がありますが、何が違うのでしょうか?
ゲリラ豪雨とは『気象庁では使用を控える用語として扱われています。ゲリラ豪雨の言い換える用語としては、「局地的大雨、集中豪雨」が使われています。』
この「ゲリラ豪雨」という言葉は、1969年に予報官が予測できない大雨として、気象庁の職員が命名したことばです。
突然、強い雨が降り出すと「ゲリラ豪雨だ!」と言いたくなりますが、気象学者からはひと言、言いたいことがあるみたいです。
『「ゲリラ」という言葉の中には、「突然発生する、予測困難、局地的」などの意味合いがあります。ゲリラ豪雨という言葉は現代のように観測網が充実していなかった、1970年代にリアルタイムの観測が難しい豪雨という意味で使われ始めました。
観測網が発達している現代においては、予測の難しい豪雨という意味合いに変わってきています。
予測できている豪雨はゲリラ豪雨ではありません。』
では、気象庁が「ゲリラ豪雨」の言い換えの言葉として使う「局地的大雨」について説明したいと思います。
気象庁の定義では、局地的大雨とは『急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十㎜程度の雨量をもたらす雨(単独の積乱雲が発達することによって起き、大雨や洪水の注意報・警報が発表される気象状態でなくても、急な強い雨のため河川や水路等が短時間に増水する等、急激な状況変化により重大な事故を引き起こすことがある。)』とされています。
ちなみに、10㎜の雨とは「やや強い雨」と言われています。
「やや強い雨」とは、一般的に言って、「ザーザーと降る雨」のことです。
感覚としては、
※地面からの跳ね返りで足元がぬれる
※屋内では雨の音で話し声が良く聞き取れない
※屋外では地面一面に水たまりができる
と言われています。
では次に、「ゲリラ豪雨」と同じように近頃よく耳にする言葉が、「線状降水帯」です。
線状降水帯とは『次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される線状に伸びる、長さ50~300㎞程度、幅20~50㎞程度の強い降水をともなう雨域のこと。』と定義されています。
*線状降水帯については、「【線状降水帯とは? なぜ起こる】豪雨災害から身を守る方法を考えてみよう」で詳しく説明してありますので、是非ご覧ください!
「顕著な大雨に関する気象情報」という情報が発令されるときがあります。
この気象情報は、大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、線状の降水帯により、非常に激しい雨が同じ場所で実際に降り続いている状況を「線状降水帯」というキーワードを使って解説する情報です。
※「顕著な大雨に関する気象情報」の発表基準※
「顕著な大雨に関する気象情報」が発表される条件は、現在、10分先、20分先、30分先のいずれかにおいて、以下の基準をすべて満たす場合に発表されます。
① 前3時間積算降水量(5㎞メッシュ)が100㎜以上の分布域の面積が500㎞²以上
② ①の形状が線状(長軸・短軸比 2.5以上)
③ ①の領域内の前3時間積算降水量最大値が150㎜以上
④ ①の領域内の土砂災害キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において、土砂災害警戒情報の基準を超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を超過
※土砂災害警戒情報の基準とは※
土砂災害のリスクが高まる場合に発令される警報で気象庁などの機関が発令します。
警戒情報を発令する場合、雨量基準、土壌雨量指数、地形条件、観測データと気象モデル予測などのデータをもとに、住民の安全を確保するために発令されます。
※大雨特別警報の土壌雨量指数基準値とは※
土壌の含水率(水分量)を評価し、雨が降った際に土壌がどれだけ水分を吸収できるかを示す指標です。
基準値は、地域や国によって異なり、地域の気象条件や地形、土壌の性質に応じて基準値が設定されます。
※気象モデル予測とは※
大気と海洋の物理的なプロセスや相互作用を数学的に表現し、将来の気象状況を予測するのに使用されます。また、気象モデルは過去の気象データを解析し、気象条件や気候パターンの理解を深めるのにも役立ちます。
集中豪雨の発生メカニズム
では、どのようにして集中豪雨が発生していくのかを見てみましょう?
積乱雲という雲が発生すると、大雨を降らせます。その積乱雲が次々と発生し、同じ場所で長時間、雨を降らせると集中豪雨となり、甚大な被害が発生します。
では、その積乱雲は、どのようにして作られるのか、見てみましょう。
雲ができるためには、水蒸気と気温が重要です。
この水蒸気が多ければ多いほど、大雨になりやすく、水蒸気が少ないと雨は降りません。
気温が高いほど、空気中に水蒸気を多く含みます。
この空気の中に含まれている水蒸気が上昇し、水に変化し雲となります。
では、空気はどのようにして上空に上がっていくのでしょうか?
- 地形的に言えば、風が山などの斜面にあたって、斜面に沿って上昇する場合
- 地表の空気が太陽により温められ、温められ空気が上昇する場合
- 大気の状態が不安定で空気が上昇する場合
などなどがあります。
また、同じ空気の中でも、水蒸気を多く含んだ空気の方が軽い空気のため、上昇しやすいです。(詳細は「雨はなぜ降る 雲はどうやってできる なぜ雲は浮かんでいる 考えてみよう! 【基本編】」を是非ご覧ください。)
水蒸気を含んだ空気が上昇すると、上にいくほど大気の温度は下がります。
すると、大気の温度が下がることによって、上昇した空気中に含むことができる水蒸気の量が少なくなり、余分な水蒸気は水に変化します(雲の生成)。
水蒸気が水に変化する時、エネルギーを放出するため、周りの空気を温めます。温められた空気は、さらに上昇します。上昇すれば気温が下がるので、また水に変化し、エネルギーを放出、周りの空気を温めるという過程が繰り返されます。
最終的に、水蒸気を含んだ空気の温度が、大気の温度より低くなり、水に変化しなくなります。(雲の生成がなくなります。)
積乱雲の成長過程
「積乱雲」になるまでには、まず「積雲」という雲ができます。この「積雲」がさらに成長し、「雄大積雲」が形成されます。そしてさらに成長して「積乱雲」となります。
積乱雲の成長期は、モクモクと上空に向けて発達した雲の状態(雄大積雲)です。(この時、雲の中はすべて上昇気流となっています。)
雲ができる高度が低いと水の雲や雨滴となっています。高度が高くなると氷の粒や雪、あられができます。(これらを「降水粒子」といいます。)
この雲がどんどん発達し、対流圏の上端に到達すると積乱雲の成熟期となります。(対流圏は高度10~15㎞ 対流圏では、降水、雲の形成、雷雨、風などの様々な気象現象が起こります。)
さらに、雲は対流圏の上の成層圏に入ろうとしますが、押し戻され、水平に広がっていきます。これが「かなどこ雲」です。
成熟期の積乱雲の中は、上昇気流が強く、降水粒子は上空に運ばれます。上層気流が弱いところでは、粒子が落ちてきますが、落下途中の上昇気流の強い部分で再び上昇に運ばれます。
このことを繰り返し粒子は大きくなり、ある程度大きくなると落下速度が速くなり、上昇気流を振り切って落下します。(0℃の層までは、凍った状態で落下し、0℃を超えると雨粒となり落下します。)
雨粒、雪やひょうなどが落下する時、摩擦の効果で周りの空気を引き下ろすため、下降気流が発生します。雪やひょうなどが雨粒となるとき、周りの空気の熱を奪うため、周囲の気温を下げます。周りより気温が低い空気は重たいため、さらに下降気流が強くなります。成熟期の積乱雲の中は、上昇気流と下降気流が混在しています。
落下する雨粒が雲の底を抜けると、蒸発しながら雨粒が落下していきます。雨粒が蒸発していく時に、雪が雨粒になるときと同じように周りから熱を奪います。するとさらに、空気を冷やし、下降気流が強くなります。
積乱雲から発生した冷たい下降気流は、地面に到達すると周囲に広がります。積乱雲が近づく際に冷たい風が吹くのはこのためです。
積乱雲の衰退期は、積乱雲の中がほぼ下降気流となり、モクモクとした雲はなくなり、青空が見え、雨はもうすぐやみます。
ひとつの積乱雲の寿命は、30分から1時間くらいです。落雷や激しい雨などが起こりますが、大きな災害になることはありません。
豪雨になる原因はいろいろあります。その中で、近年ニュースなどでよく取り上げられるのが「線状降水帯」です。
「線状降水帯」については、こちらの記事(「【線状降水帯とは? なぜ起こる】豪雨災害から身を守る方法を考えてみよう」)で詳しく説明しています。もしよければご覧ください!
台風とは
豪雨といえば、最初に思い出すのが「台風」ではないでしょうか?
しかし、「台風」の正体はどのようになっているのでしょうか?
次は、「台風とは」というテーマについて考えてみたいと思います。
台風は、世界中の海域で年間約80個発生しています。そのうち、日本に襲来するのは、およそ26個です。
これらの台風は、北西太平洋で発生しています。北西太平洋は、他の海洋に比べ、台風発生最多地帯で、これは、台風の発生条件によく適合しているためで、発生件数の約31%を占めています。
- 台風は海上で発生するが、海面水温が26~27度以上であること
- 大気が湿っていること
- 大気が不安定の状態であること
- 台風の上層(およそ高度6~10㎞以上)と下層(およそ高度2~5㎞)の風の向きや強さの差が小さいこと
- 天気図で見た時のような大規模の風が低気圧性回転であること
- 地球の自転の効果が強く働く北緯・南緯5度以上の経緯であること
北西太平洋で発生した熱帯低気圧を「台風」といいます。(インド洋や南太平洋では「サイクロン」、北大西洋や北東太平洋では「ハリケーン」といいます。)
台風は大きなもので、水平スケールで直径2000㎞にまで及びます。(東京を中心に1000㎞の半径の円を描くと、南は鹿児島の種子島、北は北海道の知床半島が円周上に乗ります。)
また、台風の渦巻きが瞬間的にもっているエネルギーは、日本の年間の発電量に匹敵します。
そして、台風は「長寿」であるということです。
普通は、地表面の摩擦や周りの風が渦巻きを壊すために、渦巻きはすぐに消滅してしまいますが、台風の平均寿命は「5日間」です。太平洋の中央で発生したものや動きが遅いものは、2週間以上、生き続けるものもあります。
では、中身を見てみましょう!
台風を上から下に切断してみると、中心は、雲のない「目」があります。そして、目の外側は「積乱雲」が取り巻いています。この積乱雲が集まってできる雲を「壁雲」といいます。
台風の強烈な風は、台風の中心をぐるぐる回る風です。渦の回転の最も強いところは、地表部分にあります。
なぜ、地表部分の風が強いかというと、台風の内部の温度分布に関係があります。台風の上層から中層にかけて、周囲より温度の高い部分があります。ここを「暖気核」と呼ばれる台風独特の部分です。この「暖気核」は、壁雲を形成する積乱雲から放出される熱のよって形成されます。
温かい部分が中心にあるということは、周囲より軽い空気が中心にあります。
すなわち、台風は中心にいくほど、気圧が低い低気圧になります。
下の方は、外から内に風が吹き、壁雲の部分は上昇気流となり、上層では外向きの風になっています。
そして、中心でも下の方ほど低下量が大きいことがわかっています。
中心が低気圧ということは、周りの空気が中心に流れ込んでいきます。
この中心に流れ込む気圧の流れ(気圧の力)に、地球の自転に伴うコリオリの力と遠心力が働き、風は、台風の眼を中心にして、風が渦を巻きます。
コリオリの力とは、地球の自転によって発生する力で、北半球では、進行方向に対して直角右向きに働く力です、(南半球では左向きの力が働きます。)
台風の中心と外周の気圧差が大きいほど台風の回転が強くなり、風が強くなります。
また、台風の渦の回転の強さですが、これも下層にいくいほど強くなっています。
台風は、まだまだ謎めいている存在ですね?
おもしろいことに、赤道上では台風が発生しません。
なぜなら、コリオリの力が赤道上では「ゼロ」なので、台風の渦巻きが作れないからです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は「【集中豪雨と台風】定義や仕組みについて わかりやすく解説します!」というテーマで記事を書いてみました。
日本は毎年夏になると、台風や豪雨により、甚大な被害を受けます。
また、近年、地球温暖化が叫ばれ、豪雨や台風の発生にも変化がみられているようにも思われます。
自然災害の驚異には、年々、恐怖すら感じる今日このごろです。
自然の驚異を十分認識し、大切な命を守りましょう!
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