こんにちは! 防災アドバイザーの熱血じいさんです。
今回は、「雨はなぜ降る 雲はどうやってできる なぜ雲は浮かんでいる 考えてみよう!【基本編】」というテーマで記事を書いてみました。
これから、雨について3回に分けて、記事を書いていきたいと思います。
まずは、【基本編】として、「雨はなぜ降る」ということをテーマで、お話したいと思います。
たいへん素朴な疑問ですが、雨はどうして降るのでしょうか?
どうして雲ができて、雨が降るのかということについて、考えたことありますか?
私は正直言って、あまり考えたことがありませんでした。
しかし、この雨が降るということを深く見てみると、たいへん興味のある、面白い内容でした。
晴天のとき、雨は降りません。でも、雨雲(黒い雲)が近づいてくると、もうすぐ雨が降りそうだ!と感じますよね?
今回は、「なぜ、雨が降るのか?」という点について、科学的に見ていきたいと思います。
では、最初に雲のでき方についてお話したいと思います。
目次
雲ができるまで?
雲はどうしてできるのでしょうか?
結論から言えば、地上の空気が上昇して、空気の中の水蒸気が水となり、雲となります。
一般的に言って、地上の空気の方が温かく、上空に行くほど温度は低くなります。(通常100m上昇すると1度程度、温度が下がります。)温かい空気は上空にいく性質を持っています。
空気の中には水蒸気が含まれています。
温度が高いほど空気の中にたくさんの水蒸気を含むことができます。
温かい空気は上空に上がっていきますが、上空に行けば、温度と気圧が下がります。
温度が下がれば、水蒸気を最大限保持する量も少なくなっていきます。保持できなくなった水蒸気は、水蒸気の状態でいられなくなり、「水」となります。
この「水」が雲となります。
★ある温度での空気の中に含むことのできる水蒸気の最大の量を飽和水蒸気量といい、それに対する気圧を飽和水蒸気圧といいます。
なぜ雲は空に浮いているの?
雲ができる理由はわかりましたが、ではなぜ、水の雲が空に浮いているのか、不思議に思いませんか?
雲が上空で浮いている理由は、雲中の水滴や氷の粒が大気中の上昇気流によって支えられているためです。
雲は水蒸気が冷やされて凝結し、微小な水滴や氷の粒(雲粒子)が集まってできます。
これらの水滴や氷の粒は非常に小さく(直径0.01㎜…人間の髪の毛の太さの1/5)、重さが軽いため、重力による落下がほとんどありません。(落下速度は、1秒に1㎝程度)
一方、大気中には上昇気流が存在します。
上昇気流は、地上での地形や太陽の熱などにより空気が暖まることで生じる上向きの風の流れです。
上昇気流は雲の中に含まれる水滴や氷の粒を支え、上空で浮いている状態を保ちます。
すなわち、雲が上空で浮いている理由は、雲中の水滴や氷の粒が上昇気流によって支えられているためです。
上昇気流が雲を持ち上げ、浮かせることで、私たちは空に浮かぶ美しい雲を見ることができます。
大気の状態が不安定とは?
大気の状態が不安定とは、温暖な空気が地上に近く、寒冷な空気が上空に近い状態を指します。
大気の状態が不安定な場合、地上の温暖な空気が上空の寒冷な空気よりも軽い性質を持つため、上昇気流が活発に発生しやすくなります。
前述したとおり、この上昇気流によって、水蒸気が急速に上空に運ばれ、上昇気流の中の水蒸気が冷やされ、水(又は氷)となり雲ができます。
この雲が大きく成長すると、雲の中の水滴や氷の粒が重力によって地上に向かって落下します。
落下してきた水滴や氷の粒が互いに衝突してさらに成長し、大きな雨滴や雪片となることがあります。
不安定な大気の状態は、気象現象が活発化しやすく、雨や雷雨、激しい降水現象などが発生しやすいとされています。
空気の大部分が、窒素(78.1%)と酸素(20.9%)で構成されています。
気体の重さは分子の量に比例します。
ここで、学生時代の化学の授業を思い出してください。
アボガドロの法則を覚えていますか?
アボガドロの法則は、気体は温度と気圧、体積が同じならば、同じ数の分子を含くむという法則です。
空気の中には水蒸気が含まれています。
水蒸気は、温度が高いと多く含まれるという性質があります。
先ほどお話しした、アボガドロの法則によると、同じ体積・温度・気圧の状態だと同じ数の分子となります。
空気の中は、窒素・酸素・水蒸気(水)があります。
ここで各気体の分子量をみてみます。
窒素(N₂…Nの分子量=14 窒素(N₂)=N(14)×2=28となります。)
酸素(O₂…Oの分子量=16 酸素(O₂)=O(16)×2=32となります。)
水蒸気(水)(H₂O…Hの分子量=1 Oの分子量=16 水蒸気(H₂O)=H(1)×2+O(16)×1=18となります。)
この3つの分子量をみると、水蒸気が一番軽いです。すなわち、水蒸気が多く含まれている空気の方が軽いと言えます。
水蒸気が多く含まれる条件は温度が高い場合です。すなわち、温かい空気の方が軽いと言えます。
結果として、温かい空気は冷たい空気に比べ、軽くなり上昇しやすくなります。
白い雲と黒い雲
雲には、白い雲と黒い雲がありますよね?
雨が降りそうだなと思われる場合、黒い雲(又は灰色の雲)が上空を覆っています。
ではなぜ雨雲は黒く見えるのでしょうか?
なぜ白い雲は、雨にならないのでしょうか?
黒い雲と白い雲の違いは、雲の厚さと中に含まれる水滴や氷の量によるものです。
雲が白く見える理由は下記のとおりです。
雲は、太陽光など、様々な波長をもつ光を反射・散乱させます。
雲の中には、微小な水滴や氷の結晶があり、光を多方面に散乱させる性質があります。これにより、「赤」、「青」、「緑」などの様々な波長の光が、私たちの目に届きます。
これらの波長の光が均一に届くと、私たちの脳はそれらの情報を統合して「白色」と解釈します。
これが、雲が白く見える理由です。
黒く見える雲は、たくさんの水滴や氷の粒を含んでいます。
水滴や氷を多く含む雲(雨雲)に入った太陽光は、何度も散乱・吸収されたりすることで、私たちの目に届く光が弱まってしまい、雲が黒く見えます。
黒い雲(雨雲)は雲の厚さと含まれる水滴・氷の量が多いため、雨や雷雨が降りやすいです。一方、普通の白い雲は薄く、水滴や氷の量が少ないため、雨が降りにくいのです。
ただし、この見た目の違いだけでなく、天気の予測は複雑であり、気象条件によっては見た目の通りにいかないこともあります。それでも、基本的には黒い雲が雨の可能性が高く、白い雲は天気が安定している場合が多いと言えます。
積乱雲が発達すると、雷が発生することがあります。
積乱雲とは、夏によく見かける「入道雲」のことです。
雲の内部や雲と地面との間に電位差が生じた時に、その状態を解消(中和)するために空気の中を電流が流れるのが雷(放電)です。
雲の内部や雲と周囲の空気との間で起こるのが「雲放電」、雲と地面の間で起きるのが「対地放電(落雷)」です。
雷が発生する仕組みは次のとおりです。
積乱雲の中で、霰(あられ)と氷晶(ひょうしょう)がぶつかり、それぞれ違う極性の電気を帯びます。
積乱雲の中では、雲の上の方から「正―負-正」という三層の構造となります。
「落雷」というと、積乱雲から地表に電流が流れるとイメージしていると思いますが、地表から積乱雲に向かって流れる雷もあります。
中層の負の電荷が下層の正の電荷を中和し、さらに雲底下まで伸びて地表に向かいます。
この負の電荷は、徐々に地表に向かい、地表の正の電荷が強くなると、木のような高い場所から正の電荷が伸びていきます。
負の電荷と正の電荷が出合い放電経路が出来上がります。すると、地表から大量の正の電荷が放電経路を通って雲に流れこみます。(これを帰還雷撃といいます。)
帰還雷撃のすぐ後に、雲から地表への負の電荷の流れが発生します。この過程を繰り返し、電荷の偏りを中和させるのが対地放電(落雷)です。
★放電現象が起こると、数㎝程度の細い経路に大量の電気が流れるため、その経路の空気は3万℃に加熱されます。
雨はなぜ降る
雲を作っている雲粒は、周囲の水蒸気を取り込み大きく成長します。ある程度大きくなると、雲粒同士が衝突することで、さらに成長していきます。
雲粒の中で大きなものは、小さい雲粒より早く落下し、落下途中で小さな雲粒と衝突し、さらに大きな雲粒と成長します。
これらのことを繰り返して、上昇気流では持ち上げることができない大きな雲粒になったものが、地上に落下し「雨」となります。
雨粒は、よくしずくの形で描かれていますが、本来は、落下する時の空気抵抗で、つぶれて横に広がった形で地上に降ります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、「雨はなぜ降る 雲はどうやってできる なぜ雲は浮かんでいる 考えてみよう!【基本編】」というテーマで記事を書いてみました。
第一回として、雨についての基本的なことについて、理解を深めました。
私自身、気象学のスペシャリストではありません。防災という観点から「雨」というものに興味を持ち勉強してきました。
説明不足のところもあるかと思いますが、もしご不明な点がありましたら、コメントにご意見等を書いて送信してください。よろしくお願いします。
次回は、「豪雨・線状降水帯」について、お話しをしたいと思います。
近年、雨の降り方が変化してきたように思いませんか?
雨は、われわれが生活していく中で、無くてはならない自然現象です。しかし、ひとつ間違えると、甚大な被害をもたらす自然現象です。
自然に勝つことはできませんが、共存していくことはできると思います。
雨について理解し、水害から大切な命を守っていきましょう!
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